一円玉の恋
「なんか、二人ともいい感じじゃない。名前が一緒だから息が合ってくるのかしらね。すい君とすいちゃんっておもしろいわよね。」

「全然面白くないです。私、こんなに性格曲がってません。それに異性にだらしなくありません!」

と言って、しまったと隣を見たら、再び黒いものが…。
あ、やっぱり。そうなりますよね。
いやーひふぁい!ひふぁい!

「翠ちゃんのほっぺたって、本当柔らかいよねー。」

と力を込めて山神さんが伸ばしてくる。

「ごめんなふぁい。もうひひまふぇん。」

と全面降伏を掲げた。本当に痛い!

「はい!できましたよー。」と、杏子さんがオムライスを出してくれた。
やったー。オムライス好き!
またまた、食前酒を頂いてほろ酔い気分でパクパクと食べる。
幸せーぇ。と上を向いてニンマリする。
私の仕草を見て山神さんがフッと目尻を下げて、私の好きな笑顔を見せてくれる。
思わず、私も山神さんに向かって笑ってしまった。
山神さんの顔がみるみる赤くなる。あっ凧だ!
えっでもなんで?酔ったのかなぁ。と思いながらまた、黙々と食べ始める。

杏子さんが、唐突に

「翠ちゃんって、いままで好きな人いたの?」

と聞いてきた。

「ん、いません?あっ幼稚園の頃はいたかも。」

「彼氏とかは?付き合った事とか?」

「あー。…残念ながら。」ないな…悲しいね。

「自分に好意持ってるなぁ、とかって感じたことは?」

「ええっ!そんなのないですよ!」そんなの、

「いたら、教えて欲しいです!」と力を込めて訴えた。


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