カラダから、はじまる。
「……あ、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
わたしは、黒の2.55を持って立ち上がった。
「もうっ、あんなに呑むからよっ」
母から、鬼の形相で睨まれる。
「それよりも、おとうさんの方こそ大丈夫なの?
かなり急ピッチで呑んでない?もうすぐ花束贈呈で前に出なくちゃならないんでしょ?」
……それに、今日のおとうさん、不気味なほど、ほとんど喋ってなくない?
「あら、イヤだ。おとうさん、いくらお酒に強いからって、もうそのくらいにしておいてよ?」
しかし、父は母の言うことを聞かずに、無言でグラスに瓶ビールを注いだ。
「もうっ、おとうさんったらっ⁉︎」
……七海が「結婚した」ってことを、おとうさんも、今日のこの瞬間になって実感したのね。