カラダから、はじまる。

「……じゃあ、先に戻ってるわね」

わたしは麻琴にそう言って、セレクトショップで購入した金のラメが随所に散らばった黒のノースリーブのマキシワンピースの上に、シャンパンゴールドのチュールショールをふわりと首に巻いた。それから、2.55(バッグ)を手にして、パウダールームを出る。

そして、十センチヒールのルブタンで歩いていると、

「……あ、七瀬」

声をかけられて振り向くと、礼服(ブラックスーツ)の本宮がいた。どうやら、彼も席を外していたようだ。

「本日は妹の結婚式にご参列いただき、ありがとうございます」

わたしは「姉」として、お礼を述べて頭を下げた。

「あ、いや……本日はおめでとうございます」

本宮が返礼する。

「ここで会えてよかったよ。なぁ、二次会行くんだろ?」

……バンケットルームでは、わたしだけみんなから島流しに遭って「離島」にいたからね。

「そうね、一応そのつもりでLINEに返答したはずだけど……あれ、本宮が幹事なの?」

偶然にも田中の高校時代の親友が、七海の会社の上司だったらしくて、二次会の幹事は彼が引き受けてくれた、って聞いたはずなんだけれども。


「いや、おれは幹事じゃないよ……あのさ」

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