カラダから、はじまる。
その後、披露宴がお開きになり、黒留袖から着替えた母がわたしに訊いた。
「……七瀬、あなた、これから二次会へ行くんでしょ?」
「えぇ、そうよ……ちょっと、おとうさんっ、重たいんだけどっ!しっかり歩いてよっ⁉︎」
ホッとしたのか急激に酔いが回ったらしい父を、わたしと母が両脇で支えながら、ホテルのエントランスに向かっていた。
母は小柄なうえにキャリーバッグを引いているため、長身の父は同じくガタイの良いわたしの方に重心を置いている。
それでなくても、ふかふかのホテルの絨毯の上を高いヒールのルブタンで歩いているというのに。
「もうっ、おとうさんたら、あんなに呑むからよっ⁉︎」
母は激怒りだ。きっとこれから何日も、父は「お小言」を喰らい続けるに違いない。
だが、こんなに酔った父を見るのは、生まれて初めてだった。