カラダから、はじまる。

その後、披露宴がお開きになり、黒留袖から着替えた母がわたしに訊いた。

「……七瀬、あなた、これから二次会へ行くんでしょ?」

「えぇ、そうよ……ちょっと、おとうさんっ、重たいんだけどっ!しっかり歩いてよっ⁉︎」

ホッとしたのか急激に酔いが回ったらしい父を、わたしと母が両脇で支えながら、ホテルのエントランスに向かっていた。

母は小柄なうえにキャリーバッグを引いているため、長身の父は同じくガタイの良いわたしの方に重心を置いている。

それでなくても、ふかふかのホテルの絨毯の上を高いヒールのルブタンで歩いているというのに。

「もうっ、おとうさんたら、あんなに呑むからよっ⁉︎」

母は激怒りだ。きっとこれから何日も、父は「お小言」を喰らい続けるに違いない。

だが、こんなに酔った父を見るのは、生まれて初めてだった。

< 136 / 167 >

この作品をシェア

pagetop