触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
「手紙が来たわよ、オリヴィア。お待ちかねの人からよ」
階下から振り返ると、踊り場でマルヴェラが手にした手紙をひらひらと振っていた。
オリヴィアは階段を駆け上がると、彼女の手から手紙をひったくるようにして受け取った。裏を見ると、二羽の鷲の紋章……アルバーン伯爵家の紋章が刻まれている。
「家宛てに来たから、申し訳ないけど私たちで先に見たわよ」
「うん、うん、それはいいの」
「あなたの元婚約者様は、筋を通す方なのね」
マルヴェラが苦笑した。
「全て片づいたら、オリヴィアに求婚する。だから彼女の縁談については撤回して欲しい、ですって」
「全て……?」
「ヴィオラ殿下との噂のことじゃない? フレッド様と結婚したいとおっしゃっているそうね」
全てと言うくらいだから他にもありそうな気がするけれど。
首を傾げつつマルヴェラと玄関ホールへの階段を降りる。と、マルヴェラが呆れたような笑い声を立てた。
「フレッド様! まあ、あなたもしかして返事を待てなかったのかしら? せっかちな方ね」
驚きに顔を上げる。
執事に案内されて向こうからやってきたのは確かにフレッドだった。
「フレッド様!」
彼が柔らかく目を細める。その姿には、この前のような疲労は見られない。栗色の髪は丁寧に撫でつけられ、艶のあるダークグレイのフロックコートに空色の瞳が映える。端正な顔立ちはそのまま、彼女を見つめる表情は甘くて、オリヴィアの胸が高鳴った。
階下から振り返ると、踊り場でマルヴェラが手にした手紙をひらひらと振っていた。
オリヴィアは階段を駆け上がると、彼女の手から手紙をひったくるようにして受け取った。裏を見ると、二羽の鷲の紋章……アルバーン伯爵家の紋章が刻まれている。
「家宛てに来たから、申し訳ないけど私たちで先に見たわよ」
「うん、うん、それはいいの」
「あなたの元婚約者様は、筋を通す方なのね」
マルヴェラが苦笑した。
「全て片づいたら、オリヴィアに求婚する。だから彼女の縁談については撤回して欲しい、ですって」
「全て……?」
「ヴィオラ殿下との噂のことじゃない? フレッド様と結婚したいとおっしゃっているそうね」
全てと言うくらいだから他にもありそうな気がするけれど。
首を傾げつつマルヴェラと玄関ホールへの階段を降りる。と、マルヴェラが呆れたような笑い声を立てた。
「フレッド様! まあ、あなたもしかして返事を待てなかったのかしら? せっかちな方ね」
驚きに顔を上げる。
執事に案内されて向こうからやってきたのは確かにフレッドだった。
「フレッド様!」
彼が柔らかく目を細める。その姿には、この前のような疲労は見られない。栗色の髪は丁寧に撫でつけられ、艶のあるダークグレイのフロックコートに空色の瞳が映える。端正な顔立ちはそのまま、彼女を見つめる表情は甘くて、オリヴィアの胸が高鳴った。