触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
「しかしヴィオラ殿下は君を大層気に入っておられるようだ。しかもあの方はこう言ってはなんだが、……誇り高いお方だ。君が自分ではなく娘を選ぼうとしていると知ったら、どうなると思う」

 グレアム公はさらに畳みかけた。

「しかも、娘には別の縁談もある」
「あなた」

 横からマルヴェラが夫を取りなそうと手を伸ばすが、グレアム公は厳しい目でその手を押さえた。

「このままでは娘はヴィオラ殿下から君を奪ったと周りから悪しざまに言われ、名誉を損なわれるだろう。娘がそのような心無い誹謗中傷にさらされるのは、我慢ならないんだよ」
「もちろんです。一つとして彼女に悪意を向けさせはしません。手は考えております。それにはグレアム公の協力もいただきたいと思い、お願いに上がりました」
「ほう。この事態を丸く納める自信があるのかね?」
「でなければ、彼女に求婚いたしません」

 グレアム公がフレッドを探るように見つめる。オリヴィアは不安になって隣に座る彼を見やった。

「相手は王女殿下だ。正式に命令が下れば、君は身動きが取れなくなる。君ならわかっているだろうが、娘を巻き込むことだけは許さないよ」
「いいえ、おじ様」

 オリヴィアは二人に割って入った。

「私は巻き込まれるのではありません。当事者です」
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