触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
 あれは十四の時だった。

 屋敷に遊びに来た従兄妹たちと、ユナイ川のほとりの森が開けた場所で遊んでいた。従妹の一人と弟がひょんなことから喧嘩になり、泣き止まない従妹を慰めようとして、彼女は川の上流に咲く花を探しにいったのだ。しかし目当ての花をなかなか見つけられず上流へと行くうちに、不審者と鉢合わせした。

 男たちは地味な服装をしており、すぐには隣国からの侵入者だと気づかなかった。
 逃げるまもなくオリヴィアは薬を嗅がされて捕らえられ、森の奥に連れ込まれた。

 目を覚ましたときには男の身体の下だった。恐怖のあまり悲鳴すら上げることができず、ただひたすらガタガタと震えるオリヴィアを救ったのは、戻りが遅いことを心配した従兄と従者だった。

 沈黙が漂う。意を決して顔を上げると、フレッドの空色をした目が眇められていた。
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