触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
 屈みこんで彼女の靴を脱がせてやると、すらりと白い足が解放された。次にフレッドはひじ掛けにうつ伏せになっている彼女に覆い被さり、両方のイヤリングを外した。柔らかな感触に吸い寄せられるようにして、その耳に思わず唇を寄せる。一度そうしてしまうと止まらなくなり、フレッドは繰り返し彼女の耳朶に唇を寄せた。

 彼女のひそやかな吐息が熱く甘くフレッドの髪を揺らす。彼女の柔らかさに溺れそうになる。

「っ……」

 オリヴィアがゆっくりと頭を起こした。

「気がついた?」

 頰はほんのりと上気しており、目がとろりと濡れている。酒がまだ抜けていないのだろう。いつもより舌足らずな声で、彼女がつぶやいた。

「……フレッドさま?」
「久しぶりだね。大分飲んだ?」
「そうみたい……。もしかして私、寝て……?」
「少しだけね」
「やだ……」

 とろんとしたその表情も、舌足らずな声も、嫌というほどフレッドを煽る。普段は強情なところのある彼女の、あどけない仕草に庇護欲が刺激される。

「フレッドさまがいらっしゃるなんて、驚いて……」
「急に決まったから知らせも寄越せなかったね。ごめん」
「ううん、嬉しい……」

 思わずオリヴィアを凝視してしまう。こんな甘えた口調は初めてだ。

「会いたかった」

 そのなめらかな頬に手を伸ばす。彼女の意識がおぼろげなのをいいことに狡いと知りつつ、言葉より先に触れてしまった。
 だが、彼女は素直にその手を受け入れた。
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