触って、抱いて、もっと愛して。臆病な令嬢は貴公子の一途な熱情に蕩かされました(原題「その身体に触れたら、負け」)
 すっかり弛緩した彼女の身体がフレッドにもたれかかった。
 口づけは次第に濃厚になる。
 あまさず貪りたいのをこらえ、なるべくゆっくり彼女の口内を堪能する。

「フレッドさま……からだがあつい……」

 これはいったい何の拷問なんだ。
 美しい宝石のような碧の瞳は潤み、何とも言えない色香を放っていた。
 唇はぽってりとその存在を主張し、透けそうに白く滑らかな肌が赤く色づく。
 フレッドは彼女の横髪をかき上げると、耳朶に唇を寄せた。真っ赤に染まるそこを噛んでしまいたい衝動をこらえる。

「くそっ、キツいな……」
「フレッドさま……?」

 だめだ。
 無理に事を進めれば二度とこんな甘えた姿を見られなくなる。
 フレッドは後ろ髪を引かれる思いで彼女をベッドへ運び、額に口づけを落とした。

「……お休み、オリヴィア。また明日」

 まぶたを閉じる寸前、濡れた目で自分を見上げた碧の瞳は、大人の色気と少女のあどけなさが同居して、なんともいえず綺麗だった。
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