無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法

50代の夫婦は、上野創亮と弥生。同じ会社の男女四人組は、女性が夢野香津美、政田花、男性が綿貫拓真と黒木尚太と名乗った。

夢野ら四人の勤める会社は、なんでも新入社員で入った年にフルマラソンに出るという決まりがあるらしい。完走は問わないらしいが、同期の仲よし四人は負けず嫌いだから絶対に完走すると語った。

「やるからにはリタイアしたくないっす」

綿貫が彩月の手を握る。駿太郎は何となくムカッとしたが顔には出さない。

「じゃあ、今日は一周2kmランと2kmウォーキングを２セット行きますよ。物足りなくて早く走りたくなっても、今日は我慢してイーブンペースでついてきてくださいね」

彩月は、綿貫の手をギュッと握り返してから、ゆっくり手を離すと、準備体操を促しながらそう告げた。

いつも駿太郎と彩月が二人で走っていた道を、今日は集団で走る。

若い四人は楽々で走っているが、50代の東山夫婦も若い頃からバレーボールをしているとあって、しっかりついてきている。

カップルの女性の方、前田はきつそうだが、原がしっかりフォローしていた。

駿太郎はというと、練習の甲斐もあり、スピードも遅いしかなり楽勝だった。

「お疲れ様でした。これから一ヶ月の自主練メニューを配ります。それと同意が得られれば、トレーニングアプリを立ち上げて、グループを作ろうと思うのですがよろしいですか？」

シャワーを浴びて、着替えを済ませたメンバーが集合すると彩月が説明を始めた。

「このアプリで、自分意外のメンバーが練習しているのがリアルタイムにわかるようになります。チャットもできますし、お互いに刺激になり、励まし合えますよ。ただし無理はしないこと！」

メンバー全員がアプリ登録に同意した。

「次の一ヶ月までは自主練習になりますが、困ったことがあったら店舗でもアプリでもご相談ください」

メンバーが頷くと、第１回目の練習は終わった。