無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
「羽生さん、なんか初めて会ったときよりシャープになったっていうか、男らしくなってきましたねー」

駿太郎がウィングライフスポーツに勤務し始めた初日に、ランニングシューズを購入してくれた女性:前田が、彼氏である原のところに駆け寄ってきたついでに、駿太郎に話しかけてきた。

「そうですか?」

「ええ、失礼だけど、前は顔がいいだけの細いアイドルって感じだったから」

本当に失礼な表現だったが間違いではない。この10日間で、劇的に駿太郎の体調は変わった。運動でお腹が減るので3食しっかり食べるようになり、熟睡できるようになった。

快便にもなり、肌の調子もよくなった。何より、日に日に仕事の後のランニングが待ち遠しくなり、通勤で使用している電車2駅分を歩いて通勤するようになったのだ。

「皆さん、毎日30分の運動と週3回の30分ランニングまたはウォーキング続けてましたか?」

「はーい」

着替えてきたメンバーは全員が手を挙げた。

申し込んだ月日は違えと、参加したメンバーはその日から今日まで2~3週間、自主練習をしてきた。激しい運動ではないが、継続することと習慣化することが大切だと彩月はメンバーを評価した。

「では、自己紹介をしてから練習を始めましょうか」

そうして、9ヶ月間におよぶフルマラソン完走に向けた運命共同体の活動が幕を開けたのである。


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