無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
「ところで何処にいくの?」

「決めてない」

「,,,。」

なんとなく、そんな気はしていた。引きこもりがちだと言っていた駿太郎が、お洒落なデートスポットとか知ってるのも逆に腹立たしい。

そんなこともあろうかと、彩月は今朝のランニング中にデートプランを考えていた。

ランニング中は、仕事のアイディアなどが面白いように浮かんでくる。自分に向き合うからだろうか?大事な局面で悩んでいるときなど、彩月はフラりとランニングに出掛けることが多々ある。

「じゃあ、私が決めてもいい?」

「ああ」

駿太郎にとっては、彩月と一緒にいることが目的で、場所はどこだってよかった。気の効かない自分に呆れてはいないだろうかと不安がよぎったが、彩月からはそんな様子は伺えなかった。

「電車でGo!、あっ、昔そんなゲームがあったね」

仕事場でのしっかりとしたチーフの顔とは違い、今日の彩月は年相応の20代女性だ。無表情な駿太郎の顔が僅かに崩れる。

親しい間柄の人間にしかわからない微妙な変化。

繋がれっぱなしの手が、やけに熱くなるのを二人とも黙って感じていた。
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