無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
『シュンタロウ、どうしたの?』

ユーゴのもとに戻ってきた駿太郎にユーゴが声をかける。

『彩月が,,,翔一郎とどこかに消えた」

「Oops,,,!」

ユーゴが口元を押さえて呟いた。

『悪いけど、どこかに行く気にはなれない。帰るよ』

駿太郎は無表情な顔を更に固くしてうつむいた。

『わかった。送るよ』

ユーゴは自分の車で、駿太郎の家まで送ると行ってくれた。

彩月と翔一郎。何かあるのは間違いない。

こちらに来てからというもの、駿太郎と彩月は、仕事の行き帰りもプライベートもほとんど一緒にいた。

彩月が翔一郎と会っていた気配はなかった。

"もしかして、彩月の古い友人に会いに行くと言った時、嘘をついていたのか?"

駿太郎の中の疑念がどんどん膨らんでいく。

もしも彩月に裏切られていたのなら、駿太郎はもう誰も信じることはできないと思った。

"そして、ここにももういられない"

落ち込んでいるのかはっきりはしない表情の駿太郎ではあるが、うつむいたまま動かない駿太郎をユーゴは車で夜景がよく見える公園に連れてきてくれた。

夜景なんか目にはいるはずがない。話続けるユーゴの声が遠くに聞こえる。

"今、兄貴と何をしてるんだ?"

駿太郎の頭のなかはグルグルとそんな思考に捕らわれていた。
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