無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
彩月に約束した19時には30分ほど早い18時。

ユーゴの車は駿太郎と彩月の家に到着した。

自家用車はすでに敷地内の駐車場に停まっており、玄関の明かりもついていた。

"会いたくないな"

彩月と出会ってから初めてそんな感情を抱いた。

嫌悪ではない。翔一郎を好きになったと言われるのではないかという不安と二人が過ごした時間に対する嫉妬からだ。

ひどい顔で怒鳴りつけてしまうかもしれない。

自慢じゃないが、駿太郎は1度も誰かを怒鳴りつけたことはない。そんな感情すら持たない無意味な人生だったのに,,,。

彩月を失う怖さに、彩月に裏切られたのではと思う不安に押し潰されそうなのだ。

『中まで一緒に行くよ』

ユーゴはこれまでこの家に招いたことはない。落ち込む駿太郎を一人で彩月に対面させるわけにはいかないと思ったのだろう。

正直、駿太郎は助かった、と思っていた。

すると玄関の扉が開く。

「おかえり、駿太郎」

そこには、いるはずのない翔一郎が笑顔で立っていた,,,。
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