一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
食卓テーブルなんて洒落たものがない我が家。
彼を床に座らせる、ということに何となく抵抗を感じてしまい、
床に座るとズボンが乾かしにくいからと理由を付けて、私の勉強机の椅子に座らせた。
小学校入学時からずーっと使い続けているそれに、彼は驚いていたようだけど、
何も言わないでいてくれた。
私はその横のベットに腰掛けながら、彼に向かってドライヤーの風を向ける。
元々開け放してある部屋だし、自分の部屋を見られることに特別な思いは微塵もなかった。
机とベッド、そしてクローゼットだけで満杯の狭い部屋。
年頃の女の子らしさは皆無。
「よし、これだけ乾けば電車に乗るのも大丈夫そうだね。」
土曜日の夕方。
込み合っている電車に、濡れた服で乗り込むのは周りのひんしゅくを買いそうだから。
「でも彬くん、家の近くにもっと綺麗で大きな図書館があるんじゃない?
どうしてわざわざ、こんなところの図書館に通ってるの?」
以前、彬くんに「家はどの辺?」と聞いて返された返事に仰天した。
都内でも有数の高級住宅地だったから。
彼の物腰の柔らかさは、育ちの良さのためなのかーと妙に納得した。
通っている高校も、エリートたちが集う超難関私立。
まさに私のような庶民とは正反対。
私の住む下町エリアは都心にも近く便利ではある。
有名な商店街はあるけれど、それ以外に特徴もない。
図書館もいたって普通で、
蔵書数が多いとか珍しい建築様式とかでもない。
なのに、なぜ?
「どうしてって・・・
もちろん、さぁーちゃんに会うためだよ?」
小首を傾げて、真っすぐにこちらを見つめてくる。
裏表とか下心とか、
悪いことを連想させるような要素が全くない、純粋そのものの瞳。
どうにも恥ずかしくって、目線を逸らす事しかできない。
彼を床に座らせる、ということに何となく抵抗を感じてしまい、
床に座るとズボンが乾かしにくいからと理由を付けて、私の勉強机の椅子に座らせた。
小学校入学時からずーっと使い続けているそれに、彼は驚いていたようだけど、
何も言わないでいてくれた。
私はその横のベットに腰掛けながら、彼に向かってドライヤーの風を向ける。
元々開け放してある部屋だし、自分の部屋を見られることに特別な思いは微塵もなかった。
机とベッド、そしてクローゼットだけで満杯の狭い部屋。
年頃の女の子らしさは皆無。
「よし、これだけ乾けば電車に乗るのも大丈夫そうだね。」
土曜日の夕方。
込み合っている電車に、濡れた服で乗り込むのは周りのひんしゅくを買いそうだから。
「でも彬くん、家の近くにもっと綺麗で大きな図書館があるんじゃない?
どうしてわざわざ、こんなところの図書館に通ってるの?」
以前、彬くんに「家はどの辺?」と聞いて返された返事に仰天した。
都内でも有数の高級住宅地だったから。
彼の物腰の柔らかさは、育ちの良さのためなのかーと妙に納得した。
通っている高校も、エリートたちが集う超難関私立。
まさに私のような庶民とは正反対。
私の住む下町エリアは都心にも近く便利ではある。
有名な商店街はあるけれど、それ以外に特徴もない。
図書館もいたって普通で、
蔵書数が多いとか珍しい建築様式とかでもない。
なのに、なぜ?
「どうしてって・・・
もちろん、さぁーちゃんに会うためだよ?」
小首を傾げて、真っすぐにこちらを見つめてくる。
裏表とか下心とか、
悪いことを連想させるような要素が全くない、純粋そのものの瞳。
どうにも恥ずかしくって、目線を逸らす事しかできない。