一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
1年ちょっと前、名前を聞かれて答えた時に
「さらちゃん・・・
うーん言いにくいなぁ・・・。」

彬くんは優し気な見た目を裏切らず、ちょっと舌足らず気味なところがあって、
気づけば私のことを’さぁーちゃん’と呼んでいた。
呼び捨てでもいいよ、とも言ったけど聞き入れてもらえず。

学校で女子からはそのまま紗良、
男子から苗字で佐々木と呼ばれていたので
ちゃん付けされるのも久しぶりだったし、キャラに似合わない気がしたんだけど。
彬くんが私を’さぁーちゃん’と呼ぶことは、彬くんのキャラには合ってるな、なんて思ってた。

「ねぇ、さぁーちゃん。
こっち、見て。」

甘い声で、遠慮がちに囁かれる。
私はこの、彬くんの低くて優しげな声にはどうしても弱くて、逆らうことができない。

「な、何よ…。」

そっけなくなるのは照れ隠しのため。
でも彬くんは、私のそんな態度は全然気にならないみたい。

「ねぇ、僕はさぁーちゃんのこと、
好きだよ。」


心臓の鼓動が煩い。
こんなことを言われたのは初めてで、
そしてその相手が彬くんで、
真剣な瞳。

「さぁーちゃんは?」
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