一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
返事なんて決まっている。
迷うまでもない。
ただ、恥ずかしいだけ。

「…好き。」

「良かった。」

おっとりと微笑む彬くんはいつも通りで、
でも、何か違う…。


前触れもなく椅子から急に立ち上がる彬くんに、
私の肩は驚きで跳ねた。

彬くんはそのまま、ベッドに座る私の両側に両腕を付き、
これ以上ないくらい顔と顔を近づけた。

ベッドと机は隣にくっつけてある。距離なんてない。
彬くんの行動は一瞬のことで、避けるどころか身構えることもできなかった。

「駄目だよさぁーちゃん。いくら僕が無害に見えるからって、警戒もなく家にあげちゃ。
僕だって一応、男だよ。」

あ、そっか。
彬くんがいつもと違って見えるのは、
彼の'男'の一面が見えているからなんだ。

なんて納得しているうちに、
私の上体はベッドに倒され、彬くんが覆いかぶさっていた。

「さぁーちゃん」

唇に、くすぐったいくらいに微かに伝わってくる温もり。
一瞬で離れてしまうそれに、感じる寂しさ。

そんな私の表情を見逃さなかったんだろう。
今度はしっかりと重ねられる唇。

「さぁーちゃん、好きだよ。」
耳元で囁かれる甘く優しい声。
首筋にかかる吐息がくすぐったい。

でもくすぐったいだけではなく、
何かが、身体の奥底から沸き上がってくるのがわかる。
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