恋華宮廷記〜堅物皇子は幼妻を寵愛する〜

「はは……変わった娘だ」

とうとう飛龍も笑いだす。彼も二人で貧しく楽しく、餅を売り歩く夫婦の姿を想像したのかもしれない。

(笑ってくれた)

笑うとぐっと幼く見える飛龍の顔を、鳴鈴は微笑んで見つめた。嬉しくて、それだけで胸がいっぱいになる。

「ありがとう、鳴鈴。何も心配するな。お前は俺が守る」

飛龍は長い手を伸ばし、鳴鈴の頭を撫でた。

二人の間で何も知らない小鳥が、ちょこちょこと鳥かごの中を動き回っていた。


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