あなたで溢れている

「え?」

英里奈は、何を言ってるのか…

「…見た」

「してないって」

誰ともキスなんてしてない‼︎

「…してた」

「してない‼︎」

なんでそんなこと言うのか分からない‼︎

あ?
夏井はなんて言ってたっけ?

最初からいたって…

まさか勘違いされた?
あの時見られてた?



ねぇ、英里奈。
これは自惚れていいんだよね…



ポロポロ。

泣いてる英里奈をグイッと引き寄せた。

ねぇ、英里奈。
答え合わせだよ。




合ってる?
俺の手を挟んで英里奈と鼻先をくっつけた。

「俺、こういう風にガードしたし」




合ってるよね?

「俺は英里奈としかしないって決めてんの…だから、ガードした。めっちゃ守った。ノリ悪いって言われても守るし」




その顔は正解だよね…
小さな笑みが、答えを教えてくれた。

「…だから…ねぇ………触れていい?」

ヘタレな俺は、それでもやっぱり英里奈にお伺いを立ててしまうんだ。

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