一途な御曹司に愛されすぎてます
 そう言って振り返った彼は、嬉しそうに口角を上げる。


「それではひとつ、ご褒美として私の希望を叶えてくださいますか?」

「ご褒美?」

「はい。ぜひ矢島様の個人的な連絡先を教えてください」


 雨の雫を浴びて艶めく花々よりも鮮やかな彼の微笑みに、ドキンと胸がさざめいた。

 ここで私がうなずけば、きっと私たちの関係が一歩先に進むんだ。


 本当に進んでいいの? それともやっぱりお断りするべき? 私自身、本音はどう思っているの?

 リズミカルな鼓動を刻む胸が緊張と共に徐々に熱を持つ。

 躊躇と願望が心を乱して、なかなか即答できない。


「あなたとこれからも個人的に連絡を取り合いたいんです。……この願いを叶えてくださいますよね?」


 念を押す彼の瞳の奥に、決して引かない意思と、ほんの少しの不安が見える。
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