一途な御曹司に愛されすぎてます
 そんな風にハシャぐ彼を前にすると、ますます照れ臭いやら嬉しいやらで、どうしようもなく頬が緩む。


 やっぱりこれでいいんだよね? だって彼はこんなに喜んでくれているし、同じくらい私も嬉しいもの。


 すっかり気が楽になった私が早速スマホをバッグから取り出したのを見て、階上さんもいそいそと胸ポケットからスマホを取り出す。

 そのとき、彼のスマホが鳴動した。

「すみません」と言いながら彼が電話に出るのを、私はニコニコと見守っていた。


 ついさっきまであんなに悶々としていた気持ちが、ガスが抜けたみたいに軽くなっている。

 決めてしまえばこんな簡単なことだったのに、なにをあんなに重苦しく考え込んでいたんだろう。


「……ああ、うん。わかった。今すぐ大階段に行くから」


 私と話していたときよりも一オクターブ低い声で話していた彼は、真面目な顔でスマホを胸ポケットにしまった。

 そして一転して、にこやかな笑顔を私に見せる。


「申し訳ありませんが、急ぎの用事ができました。でもすぐに戻ってきます」
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