一途な御曹司に愛されすぎてます
 ど、どうしよう、困ったな。本当にこれ、いただいてもいいのかな?

 でも、せっかくのご厚意を突き返すのも申し訳ないし……。

「あれ?」

 お盆の隅に、二つ折りになった小さな紙が乗っているのに気がついた。

 手に取って広げてみると、それは桜の花びらの透かし模様が入った和紙で、黒いインクで短い文章がしたためられている。


『この階上の里でのご滞在が、どうかあなた様の心を癒す特別なひとときとなりますように』


 思わず見惚れるほど流麗な文字だった。

 印刷された活字と違って、直筆の文字というのは書いた人の品格が表れると聞く。

 それが本当なら、この文字を書いた人はきっと上品で、ブレのない真っ直ぐな性格の持ち主なんだろう。

 私の旅が最良でありますようにと、心から願ってくれている気持ちが文章から伝わってくる。
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