一途な御曹司に愛されすぎてます
『それほどの偶然が起こった事実こそを、運命と呼ぶ』

 彼の言葉が脳裏によみがえる。


 あのとき私はその言葉を信じることができなかったけれど、今なら信じられる。

 私たちの出会いは運命で、奇跡だって。

 運命のふたりを導くためなら、奇跡くらい起きるさ。

 だってこんなに奇跡的に美しい場所が、現実に存在しているんだから。


「淳美、愛している。これからもずっと俺の隣で手を繋いで、ずっと一緒に歩いてくれるか?」


 私と向かい合う麗しい王子が、請うように両手を差し出した。

 これは彼から差し出されたガラスの靴。彼にとって決して譲ることのできない強い願いだ。


「うん。もちろんずっと一緒よ」


 私は大きくうなづいて、彼の両手に自分の手を重ね合わせた。

 私たちの足元に、透明に輝くガラスの靴が見える気がする。

 これから私たちはお互いが差し出し合った靴を履いて、長いトンネルを歩き出すんだ。

 履き慣れないガラスの靴は、もしかしたらよろけたり、躓いたりするかもしれないけれど、ちっとも怖くない。
< 236 / 238 >

この作品をシェア

pagetop