一途な御曹司に愛されすぎてます
 まるで入社試験の面接官みたいな、愛想の片鱗も窺えない顔が三つ並んでこっちを凝視している様子は、かなり心理的負担が大きい。

 居心地が悪すぎて、口角を上げ続ける気力も萎えてしまいそうだ。

 とりあえず手土産を渡して場をもたそう。


「あの、お口に合えばいいのですけれど……」


 我ながらみっともないほどギクシャクした手つきで紙袋から菓子折りを出していると、お母さんが軽く片手を上げて言った。


「いえ、結構です」


 きた。言葉通りに受け取ってはいけない“形式的な遠慮”。

「そうおっしゃらずに、どうぞ受け取ってください。ほんの気持ちばかりの品ですので」

 作り笑顔で微笑む私に、お母さんが刺々しく即答する。

「本当に結構です。そんな物を受け取る理由がありませんから」


 私の渾身の笑顔が一瞬で引っ込んだ。

 顔を強張らせる私と、無表情な三人との間に、重く静かな空気が漂う。
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