一途な御曹司に愛されすぎてます
 実際私にはシンデレラのような美貌もないし、ダンスも踊れないし、階段に置いてくるガラスの靴すら持っていない。

 それが現実。
 康平とは縁がなかったというよりも、そもそもステージが違っていたというか、住む世界が違ったんだ。


 たとえるなら海水魚と淡水魚のようなもので、同じ魚でもお互い生きる場所が違う。

 だから最初から私たちがうまくいくわけがなかったんだよ。私が世間知らずだったんだ。


「痛い目を見たけれど、それを学んだだけでも康平と付き合った意味はあったと思う」


「新城家の人間性にも十分問題はあると思うけどね。私はとにかく淳美が引きずっていないのなら、それでいいよ。さ、これでこの話題はおしまい!」


 パンッと手を打ち鳴らした美千留の表情がパッと輝く。


「楽しいことを考えよう。ついに明日から女ふたり旅だもんね。淳美はもう荷物送った?」

「もちろん」


 ずっと楽しみにしていた旅行の件に話題が移って、私も弾んだ声を出した。

 明日から週末と有休を利用して、美千留と一緒に二泊三日の格安旅行に行くことになっている。
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