一途な御曹司に愛されすぎてます
 開業前の豪華リゾートホテルがプレオープンの体験者を募集していて、その超レアなモニター旅行を美千留が見事に射止めたんだ。

 すごい競争率だったろうに、人生ってこんなラッキーなこともあるから捨てたもんじゃない。

 ただ……。


「まさか、あの階上リゾートが運営するホテルだなんて妙な巡り合わせだよね。これも因縁かなあ?」


 しみじみつぶやくと、美千留があっさり「ただの偶然でしょ。考えすぎ」と否定した。

 まあ、その通りだろうけど。

 それに康平のことを差し引いても、あの旅は本当に素晴らしい体験だった。

 美しい里山の雪景色と、顔も知らない専務さんからの温かな心遣いが忘れられない。

 あの桜模様の和紙は、特別な思い出として今でも大事に保管している。


 専務さんって、すごく上品で優しいおじさんなんだろうな。いや、おじいちゃんかな?

 きっと有能で、社員から厚く信頼されて、お孫さんから慕われるような優しい人に違いない。


「あの階上リゾートが運営するホテルなら絶対、間違いないよ。楽しみだよね」

「淳美の企画が通ったご褒美にもなるね。ほんと良いことずくめで怖いくらい」
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