一途な御曹司に愛されすぎてます
 せっかくのお食事中にグダグダ話を蒸し返すのも、お里が知れるというものだ。

 ここは彼の言う通り、話は食事を済ませてからにしよう。

 そう腹を決めた私はしっかりと料理と向き合い、食事を進めるうちに、その味わいの世界にどんどん夢中になっていった。


 白身魚のポワレの皮はパリッと焼き色がついて、身はふんわり。

 香り豊かなバターの風味に、バジルが効いたジェノベーゼ風の緑色のソースが鮮烈で、見た目まで美味しい。


 お肉料理は地場産の牛フィレ肉。
 お肉の力強い味にトリュフ独特の豊潤な香りがタッグを組んで、しかもお醤油ベースのソースだから馴染みのある味でとても食べやすい。

 これに専務さんがチョイスした熟成感のある赤ワインを口に含むと、もう感動ものだ。


 彼は食事の合間に料理とワインの説明、ここの観光名所や穴場スポットとかを次々に教えてくれた。

 知識をひけらかすような押しつけがましさは微塵もなくて、すごく話術が巧みだ。

 おかげでチーズを切り分けてもらう頃にはもう、私はお腹も心も大満足だった。
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