一途な御曹司に愛されすぎてます
「デザート、なにかしら。すごく楽しみ」

すっかり警戒を解いてニコニコしている私の顔を、専務さんが微笑みながら眺めているのに気がついて、ハッと我に返った。


 私ったら、美味しい物を食べてコロッと態度を変えるとか、すごく現金じゃない?

 ていうか、ちゃんとマナー通りに食べられていたのかな?

 康平がそういうのにすごく口うるさかったから、基本的な動作はできているはずだと思うけれど。

 ガツガツと食い意地の張った女だと思われていたらどうしよう!


「あ、あの、すみません。お行儀が悪くて」

「行儀? なんのことですか?」


 急に羞恥心が込み上げて背中を丸めて謝罪すると、専務さんがキョトンとした。


「矢島様が幸せそうなお顔を見せてくださって嬉しく思っていたんです。初対面の私との食事に緊張なさっていたでしょう?」

「あ……」

 緊張してたの、バレてたんだ。
< 85 / 238 >

この作品をシェア

pagetop