一途な御曹司に愛されすぎてます
 思いがけない展開にズキンと胸が痛んだ。

 とっさに答えられずにいる私の表情を見て、専務さんは少し怪訝そうな目をしたけれど、話は続く。


「職業柄、人物観察は得意なので。そろそろご結婚間近なカップルは見ていればわかるんです」


 如才ない笑顔の専務さんを前に、私はギクシャクした笑みを浮かべながら視線を泳がせた。

 どうしよう、誤解されてる。このまま適当に話を合わせようかな?

 ……ううん、それは嫌だ。

 破談は誇れることではないけれど、だからといって世間様に迷惑をかけたわけでもないし、隠し立てする方がみっともない。


「あの……実は、彼とは別れたんです」


 正直にそう切り出したら、専務さんの表情からスッと笑顔が消えた。

 予想通りの反応に心の中で苦笑いしながら、私は意識して明るい口調で話し続ける。


「でも実際、ゴールインしそうだったんですよ。専務さんの観察眼ってすごいですね。でも、あとちょっとの所でリタイヤしちゃいました」
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