一途な御曹司に愛されすぎてます
「そのように興奮されては、ここではなにも話せません。でもあなたは私がなにを考えているのか知りたいのでしょう? ほら、実に知りたそうな顔をしていらっしゃる」


 彼の人さし指の先が、自分の口元から私の方へと向けられた。


「ちゃんと話しますよ。あなたのお部屋で。拒否されようが、私はこのホテル内ならどこでも簡単に出入り可能なことをお忘れなく。なにせ経営者ですので」


―― にっこり……。

 余裕のイケメンのスマイルがこんなに怖いと思ったことはない。

 こんな、『どこでもドア』をチラつかせたドラ◯もんみたいなことを言われたら、私がどんなに抵抗したって無意味じゃないの。


「それではそろそろ行きましょうか。あなたの部屋へ」


 勝負あった。完敗。

 勝者の微笑みを浮かべる専務さんにエスコートされ、私は青ざめながらフラつく足取りでレストランを後にした。



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