一途な御曹司に愛されすぎてます
「あの、専務さん」

「どうぞ『悠希』と呼んでください」

 尋常じゃないイケメンが、極上の微笑みを浮かべて言った。

「特別な女性には、ぜひ名前で呼んでいただきたい」


 一歩間違えばとんでもなく寒いセリフも、この人が言うと威力満点の効果を発揮するから、イケメンてずるいと思う。

 頬を赤らめながら視線を泳がす私の表情を、ソファーの背もたれに肘を預けて頬杖をついた専務さんが眺めている。

 明らかに楽しんでいる様子がちょっぴり悔しいけれど、こういう仕草や慇懃な言葉遣いがスマートに決まっているのは、やっぱりすごい。


「呼び捨てなんて失礼なこと、できません。こんなにご親切にしていただいているのに」

「どうぞお気遣いなく。私が望んでしていることです」

「どうしてですか?」


 私は膝の上のお皿をテーブルに置いて、体を専務さんの方へ向けた。


「どうして専務さんは、こんなに私によくしてくださるんですか? そろそろ理由を教えてください」
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