蟲と世界

 なにかが見えた。
 誰かが何かを見ているみたいだった。彼女はどんどん下に下がっている。いや、周りの景色もだ同様に動いていて、私が上がっているのだと理解した。
「ま…く。……にやられて……ったわね。ここは、なにも………ちゃぐちゃ。せめ…だれかぐらいは……。なんで……が。嘘、嘘。いや…………そうだ。これは運命なのかもしれない。どうして……そうだ、これを使えば……きっと。しかし、この……つかってしまえばきっとわ…したちの……な悲劇を生…………。いや信じよう伝えるときにす…………なら」
 どこかで聞いたことのある声、そんな気がした。何かに驚き、何かに戸惑い、何かを信じた。そう聞こえる。私は今何だろう。魂か? 意識か?どちらにせよ私は死んだはずだ。これから死後の世界に行くのか、それとも、生まれ変わるのか? 
十六年間私は頑張った非常に頑  張ったはずだ。ただ何もなしえなかったのは本当に辛い……これでいいのだろうか?いや、いいわけがない。死ぬのはいやだ。ぜったいにいやだ。私はあの時思ったはずだ。あんな風に生きたいと。


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