君とスマホと僕と
「ねぇ、遊宇君。」
放課後、私は陵に校内を案内していた。放課後は部活をやっているので、校内を案内出来るし、部活見学も出来るし、一石二鳥なのだ。私は陵の方を見ずに「何？」と、答える。
「遊宇君はクラスの人達と仲良ね。」
「別に、違うと思う。私は彼らに壁を感じてるよ。元々人付き合いは苦手だしね。」
私は本当は人付き合いが苦手だった。ただ
無理矢理中学とかで学級委員をやらされ（押し付けられ）高校でも押し付けられた。そして現在に至る。
「苦労してるんだね。」
私は陵の言葉には答えなかった。その代わり
「お前は…」
何でこんな時期に転校してきたんだ？
私は続く言葉を呑み込んだ。
私は今まで他人に必要以上に干渉するのを避けてきた。大人数で騒ぐのが苦手だったからだ。その姿勢を今でも崩す気はない。それにこんな時期に転校してくる理由としてはあまり訊くのに相応しくないものもある。容易に訊いて良いことではないだろう。
陵は不思議そうにしていたが、何でもないと言うと何かを察したのか何も言わなかった。
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表紙・目次

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