【短】残月、残滓、残照、残恋。そして、残愛…。
かちゃり



「…なに…?」



足を挟まれてドアをこじ開けられない、ギリギリの隙間を作って私はドアを開くと私は問う。



あぁもう…無視すればいいのに、私のバカ。

そんな私にお構いなしのソウは真面目な顔をして、私の名前を呼んだ。



「彩雪、一緒に帰ろう?送ってく」



ソウは、撮影以外では私のことを愛称ではなく、ちゃんと名前で呼んでくる。

そこに、惹かれないわけはないのに…。


キラッキラの笑顔。

それは多分、自分以外の人間が見たら、もうヨダレものの笑みなんだろうけど…。



「お一人でどーぞ」



と、ふんっなんて鼻を鳴らす私。



自分でも分かってる。

可愛くないって。



だけど…。


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