【短】残月、残滓、残照、残恋。そして、残愛…。
こんな形でモデルの契約解除とか、多分はなさんが許してくれないだろうから、本当は悔しいけれど…ソウとの契約は打ち切りにしてもらうしか他はない。
だって…今更…こうなってしまったんだから、仕方がない…と、またため息を吐いた。


とりあえず、あとは、私次第。


思い切ってモデルを辞めるのか、続けてソウ以外の…新な専属を見つけるか…。



「あー…とりあえず、シャワー浴びてそれから考えよう…」



その時私は気付かなかった。

マナーモードにしたままのスマホが何度も鳴っていることに…。

破裂してしまうんじゃないかと思うくらいのメッセージが、ソウから届いていることに…。

そしてそれが、…今後の2人を変えることに繋がる内容であることに…。




ザァー…



温めのシャワーに打たれながら、私はずっと我慢していた雫を幾つも零した。

ここなら、誰にも見られない。

ここなら、私の心に誰も入り込まない…。



本当に6月が嫌いになりそうだった。

蒸し暑い癖に時折肌寒くなる、その変化がまるでソウのようで…雨が降る度に胸が締め尽くされて、大声を上げて赦しを乞いたくなるんだ。




だんっ



バスルームの壁を拳で叩いて、私は「ソウ…」と、一言だけ名前を呟いた。

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