【短】残月、残滓、残照、残恋。そして、残愛…。
「ちょっ、や、やめっ」


「泣いた跡、付いてる。ごめんな?泣かせて。いっぱい誤解させて。けど、もう大丈夫…泣かせないから」


「んんんっ…ば、か…っ」



おでこにまぶたに頬に口唇に、何度も繰り返し羽のようなキスを落とされて、私はなんて返していいのか分からなくなる。



ただただ、胸がきゅーっとなって、頭の中がとろんとしたゼリー状のクッションに溶かされていくような感じになって、私は目を瞑るので精一杯だった。



「彩雪、可愛い…好きだよ。愛してる」


「…胡散臭いってば」


「でも。嫌いじゃないだろ?」


「き……」


「んー?」


「す……き……」


「やっと聞けた」



ぽすん



抱き締められて、私は歓喜に満ち溢れた。

どろどろに溶かされた心からやっと開放された言葉。

たった2文字を伝える為に、どれだけの痛みを感じてきたか。

もしかしたら、それはソウも同じだったのかもしれない。
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