アナスタシア シンデレラ外伝
 アナスタシアはリンゴをいくつか買うと、明日のパンを探し始めた。いつものパン屋が今日は店を出していない。初めてのパン屋は味もわからない上に値段の交渉から始めないといけないので面倒だ。ジャガイモはどのくらい残っていたかしら。考えながら歩いていると、誰かとぶつかった。

「あ、ごめんなさい。」
「あ~ 痛いなぁ、。。骨が折れたかもしれないぃ~。」

 からかうように彼女を取り囲んだ少年達の顔には見覚えがあった。思春期を迎えたと思われる少年達は、彼女の記憶の中の彼等とは違い、背は高く、表情には男の色が濃く現れて始めていた。がっしりとした体躯はまるで別人だ。幼い頃には無邪気に笑い合ったことだってあったのに。

「くだらないこと言ってないで、どいてよ。」
「ひどいなぁ~。怪我人に。」
「あんた達、仕事は?」
「仕事なんかあるわけないだろ。」
「そう。でも私は急がしいの。」
「そんなわけないだろ。お前んちだって、仕事ねぇじゃん。」

言われて、アナスタシアは怒りで顔が赤くなるのを感じた。確かに父には仕事がない。だからなんだと言うのだ。
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