【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「おいおい、二度寝かー?」
呆然と座り込んでいる私を、再び姿を現した先生が呆れた眼差しで眺めていた。
その手には湯気が立ち上る黒いカップが握られている。
「……帰ってきて、病院内に電気がついてたから何事かと思ったら、そんなとこで爆睡してるっていうね。なんなら、そこで寝起きするか?」
「えっ、それは、あの!」
「とにかく、早く支度しろ。ムロももう出勤してくる時間だぞ」
そんなことを話しているタイミングで、奥の裏口の方から「おはようございまーす」と室屋さんの声が聞こえてきた。
辻先生はチラリとその声に目を向け、再び私を一瞥し、また診察室へと入っていってしまった。
一人になって、弾かれたように立ち上がる。
そこで腰回りに掛かっていたタオルケットの存在に気付き、床に落ちかけたところを慌てて掴んで落下を阻止した。
ここで寝るつもりなんかもちろんなかった。
じゃあ、これを掛けてくれたのって……。
迷惑そうな顔をして引っ込んだ辻先生をそっと窺うと、奥でカップを手にパソコンのモニターと睨めっこしていた。