【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
その晩。
自室で寝る前のストレッチをしていると、部屋の外からドアがノックされる音が聞こえた。
この家には辻先生と私しかいないことがわかっているから、「はい」と返事をして急いでベッドを飛び降りる。
ドアを開ける寸前、入り口のすぐ横にある姿見で自分の姿が乱れていないかチェックをし、洗いざらしで広がっている髪を両手で押さえた。
「はい……じゃこ!」
ドアを開けてすぐ、先生の腕に抱かれているじゃこの姿が目に飛び込んできた。
Tシャツにスウェットパンツ姿の先生が「起きてたか」と私を見下ろす。
その足元には、先生が個人的に飼っているラブラドールレトリバーのアレサがお座りしていた。
しっかり躾けられているから、勝手に部屋に入ることもなく、じっと座ったまま尻尾を振っている。
「術後の経過もいいから、連れてきた」
「えっ、この部屋で一緒にいてもいいんですか?」
「ああ、構わない」
先生は抱いてきたじゃこをそっと差し出す。
久しぶりに腕の中に抱いたじゃこは、相変わらずずっしりと重くて、無事に帰ってきたことに胸がいっぱいになった。