【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛


「ありがとうございます。じゃこー、元気になってよかったね」


抱っこしたのもつかの間、「ニャオ」とひと鳴きしたじゃこは、私の腕からぴょんと飛び降りてしまう。

怪我をした後ろ脚が元通りに機能しているのを目に、自然と笑みがこぼれた。

私の腕から出ていったじゃこは、初めて入った私の仮住まいをじっくり歩いて観察し始める。


「本当に、お世話になりました。先生に診てもらって、よかったです」


初めは色々なことに悩んで倒れるまでになったりもしたけど、今となっては、すぐに診察をし、的確な処置をしてくれた辻先生に感謝しかない。

治療費の代わりに住み込みでお手伝いすることにも慣れてきて、約束の一ヶ月ももうすぐ半分に到達する。


「今回のようなことにならないためには、今後は部屋からは出さないことだな」

「そうですね。気をつけます」


私たちの話を聞いているのか、アレサがこっちを見上げていて、真っ直ぐでつぶらな瞳につい腰を落として手を差し伸べてみる。

待ってましたと言わんばかりに目の前まで来てくれて、太い首に両手を回してぎゅっと抱き締めた。

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