【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
「ありがとうございましたー。……ひまさん、おかえりなさい」
「あ、ただいま。あの、先生は……?」
ムロくんは一緒に来た私の背後にいる六渡寺さんをチラリと視界に入れ、「蓮さんなら出掛けてるけど」と小声で知らせる。
「そうなんだ。なんか、先生に診てもらたいって、今そこで呼び止められて……」
「えっ、マジか」
事情を聞いたムロくんは、慣れた口調で六渡寺さんに「今日はどうされました?」と対応をバトンタッチしてくれる。
「ラブリの歯のクリーニングに来たの。蓮先生は?」
「そうですか。申し訳ないんですが、院長はただいま外出してまして、ブラッシングなら自分がやりますが、どうします?」
ムロくんと話し始めた六渡寺さんを横目に、連れられたプードルちゃんに目を向ける。
白い胴には、トリミングで大きなハート型が象られ、その部分が薄いパープル色で染められている。
この間聞いた話と目にするアートに、ずきんと胸が微かに痛んだ。