【医者恋シリーズ2】 冷徹ドクターのイジワルな庇護愛
前を歩く職員の中年の男性は、愛想のいい笑みで横に並ぶ辻先生に話しかける。
辻先生の方も普段よりも穏やかに「それは大変ですね」なんて笑っていて、一度二度の訪問ではない雰囲気が漂う。
黙って聞いていると辻先生がどなたかの名前を出して『お元気ですか?』などと聞いたりしていて、やっぱり昔からここの保健所と繋がりがあるのが窺えた。
先生に連絡がきたのは、近々この動物愛護センターで行われる譲渡会に出る予定の子の診察依頼だった。
目の病気なのか、目やにがひどいという。
案内されたケージの中にいた子は、まだ子猫というサイズの三毛猫だった。
職員の方が猫をケージから連れ出す間に、先生は手を洗い診察の準備をする。
確かに両目が濡れたようになっていて、目やにがひどい。
「結膜炎ですね……大丈夫です、恐らく内服はしなくても抗生剤の点眼で治っていきます」
先生は手早く診察を行い、職員の方に診断の結果を説明していく。
どうやらそこまで重い状態ではなかったようでホッと胸を撫で下ろした。
「点眼剤の成分として痒み止めも入っていますが、炎症が引くまではカラーをつけておいた方が安心かと」
「そうですか、ありがとうございます。カラーなら、うちのものがあるので今持ってきます!」
「お願いします」と去って行く職員さんに言った先生は、小さな身体を両手で包み込む。
「いい飼い主にもらわれるように、他もちゃんと診ておくからな」
優しい眼差しで子猫を見つめる先生を見て、キュンと胸が高鳴っていた。