四つ脚の絵書き歌

「――――――っっ!?」


目を見開いたかと思うと、少女はサッと飛び退って祥一と距離をとった。
そして目を丸くしたまま祥一を食い入るように見つめてきた。犬も主人の様子に驚いて噛むのをやめた。

腕から生暖かいものが滴り落ちている。手や下の土まで真っ赤になっている。色は赤黒い。鉄の臭気が辺りに漂っていた。
噛まれたのは静脈だ。動脈を噛まれるよりはマシか。
この状況でこんなにも冷静に物事を考えている自分に驚いた。
「……お前、どうしておれの鳴き声が分かる」
「……?」
「どうしてお前はおれと同じ鳴き方をする」
「え、えっとー……?「答えろっ!!!」」

鋭い眼光が祥一を射抜いた。背筋がスッと寒くなった。冷や汗まで噴き出しそうだ。

殺される。
そう思えるほど、少女からは殺気が放たれていた。

「……な、鳴き声?何のこと?僕はただ、」

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