四つ脚の絵書き歌
再び少女に首を噛まれるまで、祥一の脳内では爽やかなラブコメ小説が書き上げられていた。
痛みで現実に引き戻されるのはよくある手段だが、こんなに荒々しい手は初めて見た。新鮮だ……などと考えている場合ではない。
犬も飛びかかってきた。
咄嗟に顔を庇った腕に牙を立てたれた。プチン、と皮に穴が開く音が聞こえたような気がした。
続いて焼けるような痛みに襲われる。
「……ぎゃあーーーっ!!!」
「ほいふううへえ、はひいういほろあっれいはおう(祥一訳:こいつうるせぇ、先に口元やってしまおう)」
"わん!"(祥一訳:了解!)
「きゃーー顔はやめてーー!!!」