四つ脚の絵書き歌

再び少女に首を噛まれるまで、祥一の脳内では爽やかなラブコメ小説が書き上げられていた。

痛みで現実に引き戻されるのはよくある手段だが、こんなに荒々しい手は初めて見た。新鮮だ……などと考えている場合ではない。

犬も飛びかかってきた。
咄嗟に顔を庇った腕に牙を立てたれた。プチン、と皮に穴が開く音が聞こえたような気がした。
続いて焼けるような痛みに襲われる。

「……ぎゃあーーーっ!!!」
「ほいふううへえ、はひいういほろあっれいはおう(祥一訳:こいつうるせぇ、先に口元やってしまおう)」
"わん!"(祥一訳:了解!)

「きゃーー顔はやめてーー!!!」
< 27 / 28 >

この作品をシェア

pagetop