夜の庭園ー少女たちの消える庭ー
私はムッとして、お説教が始まる前に素早く「図書委員の当番なので」と説明しました。

「ああ、そうなのか......ごくろうさま」

校長先生は頭を掻き、それから私の手元に目を止めました。

「......そんなに『夜の庭園』に興味があるのかい?」

からかうような言い方に、頭に血が上りました。

「世界のバラ庭園」を音を立てて閉じ、乱暴に棚に戻した私のところに、校長先生が慌ててかけよってきました。

「ごめんよ、バカにしたわけじゃないんだ」

「信じてるのは容子だけです。私はあんなの信じてない」

「そうだよね、6年生だものね」

先生は機嫌をとるように愛想笑いを浮かべてから、ふと声を落としました。
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