ラヒの預言書
(ヒッ!!)
ステーシアが部屋を出て行ったのと入れ違いに、またソル付きの侍女が顔を洗う水桶を持って入って来た。
「あっあのっ!!」
「はいソル様」
「あの.......昨夜の事だけど、私.......キルバル様に何をしたか.......もしかして知ってる?」
「えっ?!!.......それは、その.......お二人の秘め事ですので.......私共はその.......分かりかねます。もっ申し訳ございませんっ!!」
ソルより年下であろうその侍女は、耳まで真っ赤にして俯いてしまった。
「ヒッ!!」
(秘め事っ?!!やっぱり.......私.......酔った勢いでキルバル様に粗相した挙句、襲ってしまったんじゃ.......いやっ、そんなわけない!!)
「や.......やり方だってちゃんと分からないのに.......」
自分で言っておいて、その言葉の威力に打ちのめされる。
「キルバル様.......凄く怒ってた。何も覚えてないけど、きっと上手く出来なかったんだ。粗相ってきっとその事だ。ギルドラ(王族)に不敬をはたらくなんて、今度こそ命は無いかも知れない.......」
預言書の解読の役目も下ろされる可能性が高い上に、神官見習いにも戻れないだろう。
「それでも、諦める訳には行かないっ!やれる事はやらないと!先の事を考えるのはそれからだっ!!」
(コルトー私に勇気を頂戴.......)
「ステーシア!」
「はい、ソル様。湯浴みの準備が整いました。」
「朝餉の後、キルバル様に会いに行きたいから、仕度をお願いします!」
「かしこまりました」
ソルの硬い決心を知らずに、ステーシアは優しい笑顔で傅ずいた。