演っとけ! 劇団演劇部
 どう考えても桜井さんは残しておくべきだし、遠藤さんのほうが僕よりも動けるはずだ。
 しかし相田先輩曰く
「これからの作戦は、女子供には出来ないものだ」
ということらしい。
 そんなこと言ったら、僕ら全員高校生なんだから誰も参戦できない気がする。
 桜井さんあたりが、最後まで戦いたいとか文句を言うと思ったが、憧れの相田先輩の言葉にはホイホイ従った。
 それに関しては遠藤さんのほうが抗議をしていたけど、それも何か耳打ちされると引き下がっていった。
「それでは、第2セット目」
 ピーッという笛の音と同時にジョーが勢いのあるサーブを打った。
 こっちの陣形は、前に先輩二人と利一君の高身長組が並び、後ろに僕と御手洗君、ジョーといった具合だ。
 僕の視点からでも、前の3人はかなりの圧迫感がある。とはいえ、相田先輩の言う『女子供には出来ない作戦』というものの説明を全く受けていないのに、どうやって勝つつもりなんだろう。
 ジョーの打ったボールを敵チームがレシーブで拾おうとした瞬間
「あーーっ!!」
と、相田先輩が大声でボールの先を指差した。
 それにびっくりしたBBチームの生徒はあらぬ方向にボールを打ち返し、コートの外へと飛んでいった。
「ごめん、見間違いだった」
 今井を含め、呆然とするBBチーム。
 それはこっちも同じだ。
 もちろん観客も。
 一番始めにわれに返ったゴリラーマンが、笛を鳴らすと、点数係の生徒も自分の仕事を思い出し、僕らのチームに1点入れた。
「ひ、卑怯だぞ」
 確かに。
 これで勝っても事情を知らないほかの生徒から見れば、完全に僕らが悪者だ。
 女子供には出来ない作戦って、まさか最後までこのノリでいくつもりなのか。
「だから、謝ってるじゃないか」
「今のはノーカウントだ!」
 今井がそう叫ぶと、観客の生徒からもブーイングが飛ぶ。
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