クールな国王陛下は若奥様にご執心
 言葉にすることはできなかったが、侍女達に視線で感謝の意を伝えると、リーレは遠ざかっていく祖国を見つめる。
 これからどうなるのか。
 冷酷だと噂されているカリレア国王はどんな人なのか。
 不安は尽きなかったが、ここでどんなに心配をしていても、事態は変わらない。ならば余計なことは考えず、心を静かに保って取り乱すことなく落ち着いていよう。
 そう決意して、リーレは穏やかに過ごしていた。

 カリレア王国までは、馬車で五日ほどかかる。
 隣国であるメーオ王国を越えてさらに大陸の中央まで進むのだから仕方がないが、旅などほとんどしたことのないリーレにとっては、かなり過酷な道のりだった。
 最初はかなりのスピードで進んでいた馬車も、リーレの体調が優れないからか、速度を落としてゆっくりと進むようになった。
 その気遣いに礼を言うと、女騎士は表情を変えぬまま、国王陛下の戦利品を損なわずに運ぶのが自分の役目だと冷たく告げる。
 戦利品。
 女騎士から告げられた言葉に、さすがに表情を変えた。だがカリレア国王にとって、リーレはそんなものでしかないのだ。
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