クールな国王陛下は若奥様にご執心
父は国王として、あの国を守らなければならないのだ。
王太女の姉がいるとはいえ、まだまだ父の力は必要だろう。
優しい父は、自分の政策が原因でリーレを敵地に送ってしまうことを悔やんでいたのかもしれないが、そうならなくてよかったと心からそう思う。
「どうやら父親よりは懸命のようだな。だが、そうまでして守ろうとした娘を手に入れることに、価値がある」
思わず告げてしまったリーレの言葉を聞いて、カリレア国王は冷笑を浮かべる。
冷たい笑みに、燃えるような瞳。
その違いに深い闇を感じて、リーレは視線を反らした。
(……怖い)
彼の瞳が肉食獣のようだと感じたのは、間違っていなかった。やせ細った獣のように、彼の魂は何かに餓えている。
だが、この大陸の国王がいったい何を欲しているのだろう。
手に入らないものなど、思い通りにならないことなど何ひとつないように思えるというのに。
父や姉に守られ、大切にされていたリーレには、彼の餓えた魂がとても恐ろしいものに感じてしまう。ずっと堪えてきた涙が滲みそうになって、唇を噛み締めた。
「聡い女は嫌いではない。……お前の価値は外見だけではなさそうだ」
王太女の姉がいるとはいえ、まだまだ父の力は必要だろう。
優しい父は、自分の政策が原因でリーレを敵地に送ってしまうことを悔やんでいたのかもしれないが、そうならなくてよかったと心からそう思う。
「どうやら父親よりは懸命のようだな。だが、そうまでして守ろうとした娘を手に入れることに、価値がある」
思わず告げてしまったリーレの言葉を聞いて、カリレア国王は冷笑を浮かべる。
冷たい笑みに、燃えるような瞳。
その違いに深い闇を感じて、リーレは視線を反らした。
(……怖い)
彼の瞳が肉食獣のようだと感じたのは、間違っていなかった。やせ細った獣のように、彼の魂は何かに餓えている。
だが、この大陸の国王がいったい何を欲しているのだろう。
手に入らないものなど、思い通りにならないことなど何ひとつないように思えるというのに。
父や姉に守られ、大切にされていたリーレには、彼の餓えた魂がとても恐ろしいものに感じてしまう。ずっと堪えてきた涙が滲みそうになって、唇を噛み締めた。
「聡い女は嫌いではない。……お前の価値は外見だけではなさそうだ」