クールな国王陛下は若奥様にご執心
 ふと彼の声が和らぐ。
「それに俺が何者なのか、お前は尋ねないな。こういう場合は大抵取り乱して、答えを得られないとわかっている問いを繰り返すものだが」
 そう言うと、目を細めてリーレの全身を見つめる。
「怯えてはいるが、泣き喚くこともない。ただの甘やかされた王女だと思っていたが、どうやら違うようだ」
 興味深い、との呟きに思わず顔を上げると、思案するような顔をしたカレリア国王の姿があった。価値という言葉から察するに、リーレの処遇について考えているのだろうか。
 彼が何者なのか、問うまでもない。ひとめ見たときからわかっていたし、リーレは自分の考えに確信を持っていた。
 間違いなく、彼はカリレア王国の国王レイドロスだ。
「……だが、この金色の髪は目障りだ」
 レイドロスはふいに表情を変え、忌々しいものを見るかのようにリーレの金色の髪に視線を落とす。髪に触れていた手に力が込められたのが、はっきりとわかった。
 亡き母に似た、長い金色の髪。
 リーレ自身も、母に繋がるものとして大切にしてきたものだ。だが彼は、それが気に入らないようだ。
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